放課後、キミとふたりきり。
緑の密談
机の上で顔を覆う。
心臓がバクバクいって、手がかすかに震えていた。
とんでもないことになってしまった。
10分前に戻ってやり直したい。
戻れたとしても、わたしのことだからきっと拒否することは出来ないだろう。
だからはじめから関わらないよう、教室を出てトイレかどこかでやり過ごしたい。
本気でそんなありえないことを願った。
「どうしてこんなことに……」
「どんまい、千奈」
「どんまいじゃないよ! 茅乃の裏切者~!」
「いやいやいや。わたしはいつでも千奈の味方ですから」
大丈夫だって、と無責任に肩を叩いてくる茅乃に、思わず恨めしい視線を送ってしまう
何が大丈夫なんだ。
全然大丈夫じゃない。不安要素だらけじゃないか。
やっぱり別の人にお願いした方がいい。
勇気をふりしぼり、みんなにそう言おうとした時、噂の矢野くんが教室に戻ってきてしまった。