放課後、キミとふたりきり。

思わず文字を打ちこむ手が止まる。

しまった。

どう言えば角が立たないか悩んでいるうちに、話が真面目な方向に進んでいた。

急いで言わないと。

でも、何て言ったらみんな考え直してくれるだろう。


わたし、演技力がないから?

本番に弱いから?

嘘がつけないタイプだから?

矢野くんとは正直、仲が良くないから……?


事実なだけに、最後のは自分で傷ついた。

いや、傷ついて落ち込んでる場合じゃない。

とりあえず、わたしにはムリってことだけは強く主張しておかないと。


ええと、ごめんなさい……出来る気がしないから……誰か他の人に……。


教科書のかげにスマホを隠しながら文字を入力していると、栄田くんの新たなメッセージが表示された。

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