放課後、キミとふたりきり。

自分に自信を持っている彼をすごいと思う。

誰に何を言われても、自分が納得しなければ首を縦にふらない彼が。

嫌なものは嫌だと跳ねのけられる彼が、わたしにはとても眩しく見える。


矢野くんのようになりたいわけじゃない。

というか、たぶんわたしは彼のようにはなれない。

人に頼られることを望んでいるのは、わたし自身なのだ。


だからこそ眩しい。

だからこそ尊敬した。

そして尊敬はいつからか、ほのかな恋に変わっていった。


自分でも、嫌われているのに好きになるなんて、と最初は自分の気持ちを認められなかった。

いまはなんというか、好きになってしまったものは仕方ない、と諦めている。


わたしは矢野くんのことが苦手なのに、好きなのだ。

思い切り矛盾しているけど、そうなのだ。
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