放課後、キミとふたりきり。
しかめられた矢野くんの顔の「面倒くさい」の文字がますます濃くなる。
他にやりたい人がいなかったという理由で学級委員になった矢野くんだけれど、本来はこういうイベント事に率先して参加するタイプじゃないらしい。
頭の回転は速いし人の使い方も上手いけれど、やる気がないのが玉にキズだと前に栄田くんが言っていた。
「楽しそうだろ? 昼休み矢野がいなかった時に、みんなで考えたんだよ!」
「つまりそれは、クラス全員の総意で決定事項ってことか?」
「ザッツライト! いででででっ! 矢野! 耳を引っ張るな!」
矢野くんに両耳を思い切り引っ張られ、栄田くんが半泣きで抗議する。
そうやってひとしきり栄田くんをいじめたあと、矢野くんは教室内をぐるりと見回すようにして、わたしたちを睨みつけた。