放課後、キミとふたりきり。

みんなの言葉に矢野くんは大きなため息をつき、かついだばかりの鞄を机に下ろした。


「あーもう、わかったよ。しょうがねえな」

「矢野~!」

「うぜえ! 抱き着くな!」


栄田くんを足蹴にしながら、矢野くんは自分の席に腰を下ろし、長い脚を組む。

威圧感があり、堂々としたその様はまるで王様のようだ。

差し詰めわたしたちは王様を崇める民衆か、召使いといったところか。


実際の関係性も実はそれに近いものがある。

矢野くんの言葉に逆らえる人はいない。

彼は言葉はきついけれど、言っていることはいつもだいたい正しいから。


「で? サプライズパーティーってなにすんのか決まってんの?」

「一応な! 飲みもんと食いもん買って、ゲームとかやって、あとコレ! コレ重要! 我らが2年B組のアルバムをコモリンにプレゼントしまーす!」

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