放課後、キミとふたりきり。
睨まれているように感じるのは気のせいだろうか。
もしかして、藤枝さんはまだ、矢野くんのことが好きとか。
ふたりがどうして別れたとか、どちらから別れを切り出したとか、噂は色々あったけれど、どれも信ぴょう性はなさそうだった。
噂に信ぴょう性もなにもないかもしれないけれど。
別れてからもふたりは普通にしゃべっているのを何度か見たし、ケンカ別れではないのかもなと思ったくらいだ。
「別に付き合ってるとかじゃねーよ。うちの小森が明日誕生日らしくて、サプライズパーティーするんだと。その買い出し」
「へえ、コモリン誕生日なんだ? 瞬のクラス、仲良いよねー」
「そういうこと。藤枝、さっさとダチんとこ戻れば? 待ってるぞ」
矢野くんが鬱陶し気に追い払う仕草をすると、藤枝さんはぷくりと白い頬をふくらませた。
その可愛らしさになぜか私がくらりとしてしまう。
美人で可愛いなんて、最強じゃないか。