放課後、キミとふたりきり。
こんな人と矢野くんは付き合っていたんだと思うと、ますます落ち込む。
わたしが落ちこむ必要は、欠片もないのだけれど。
「瞬は? 買い出しして、学校戻るの?」
「そうだよ」
「ふーん……。なにか作るなら、あたしが手伝ってあげよっか」
「はあ? なんでお前が」
「あたし上手いよ? そういうの。ねぇ、そこの人。いいでしょ?」
突然藤枝さんがこちらを見て微笑んだので、ぎくりとする。
「え? ええと……」
「あたしが手伝ってもいいよね?」
きれいな顔が、理想的な形でもって微笑んでいる。
それなのに長いまつ毛に縁どられた目は、まるで笑っていないように感じた。
どこか冷たく、観察するようにこちらを見ている。
「ねぇ、どうなの?」
「あの、それは……わたしは、別に」
矢野くんがいいのなら。
押し負けるように、そう口にしてしまいかけた。
本来の目的を忘れ、いつものように流されそうになったわたしを救ってくれたのは、もうひとりの学級委員だ。