放課後、キミとふたりきり。
役割分担
*
誰もいない教室に帰ってきた。
帰ってきた、という感覚が不思議だった。
電気が消えた教室は、出る時よりは少し薄暗く感じるけれど、日没まではまだ充分時間がある。
矢野くんが自分の席に荷物を置き、イスに座った。
マフラーを外す彼をぼんやりと眺めていると、なぜかじろりと睨まれる。
「なに突っ立ってんだよ。座んねーの?」
「え……っと。座るって、どこに」
「どこって、別にどこでもいいじゃん。作業すんだから、林の席でも座れば」
林の席、というのは矢野くんのひとつ前の男子の席だ。
言うやいなや、矢野くんはおもむろに席を立ち、林くんの机をくるりと後ろに向け、自分の机とくっつけた。
「ほら」
視線で「座れ」とうながされ、ゴクリと喉が鳴る。
向かい合わせで座るの?
矢野くんと真正面から向き合うの? わたしが?
誰もいない教室に帰ってきた。
帰ってきた、という感覚が不思議だった。
電気が消えた教室は、出る時よりは少し薄暗く感じるけれど、日没まではまだ充分時間がある。
矢野くんが自分の席に荷物を置き、イスに座った。
マフラーを外す彼をぼんやりと眺めていると、なぜかじろりと睨まれる。
「なに突っ立ってんだよ。座んねーの?」
「え……っと。座るって、どこに」
「どこって、別にどこでもいいじゃん。作業すんだから、林の席でも座れば」
林の席、というのは矢野くんのひとつ前の男子の席だ。
言うやいなや、矢野くんはおもむろに席を立ち、林くんの机をくるりと後ろに向け、自分の机とくっつけた。
「ほら」
視線で「座れ」とうながされ、ゴクリと喉が鳴る。
向かい合わせで座るの?
矢野くんと真正面から向き合うの? わたしが?