放課後、キミとふたりきり。
そんな滅相もない。恐れ多い。
そう言いたいところだったけれど、王様の言うことを拒否できるはずもなく、申し訳ない気持ちで林くんの席に着いた。
なんとなく、座り心地を悪く感じる。
どのイスも同じ形、同じ固さなのに、不思議だ。
鞄を机の横にかけ、わたしも巻いていたマフラーを外していると、また目が合う。
反射的に机に視線を落としてしまい、しまったと思った。
またあからさますぎる態度をとってしまった。
「……あのさあ」
正面からの低い声に、肩が跳ねる。
怒られる、と直感でわかった。
「そういう態度、わざとやってんの?」
「ち、ちが……っ」
咄嗟に首を振ったけれど、適切な言い訳は思いつかなかった。
わざとじゃない。
どうしても、びくびくしてしまう。
悪気があるわけじゃないけれど、こうもあからさまな態度をとられて、嬉しい人はいないだろう。
「あんま気分いいもんじゃねぇし、やめてくんない?」
やっぱり怒られた。
わたしはいつも、矢野くんには怒られてばかりだ。