放課後、キミとふたりきり。
思えばはじめて交わした会話もこんな感じだった。
春、進級したばかりの頃。
あれは忘れもしない、新しいクラスになって初のLHRの時間でのことだった。
委員や係を決める話し合いで、なかなかクラス委員が決まらず、推薦で名前を挙げられた時。
去年同じクラスだった子や、中学の時からの友だちに「千奈が向いてると思う」「千奈なら安心して任せられる」と言われ、断り切れずに引き受けたわたしに矢野くんは不快感をあらわに言ったのだ。
『へらへら笑ってないで、やりたくねぇならはっきりそう言えよ。高2にもなってNOも言えねぇのか』
同級生なはずなのに、まるで大人に叱られた時のような恐怖と緊張を、あの時味わった。
誰かのためになると思ったことで、こんなに強く批難されるなんて想像もしていなかったのだ。
あれから半年以上経つというのに、わたしはまるで変わっていない。