放課後、キミとふたりきり。

なんて薄っぺらな謝罪だろうか。

わたしは本当にどちらでも良かったんだ。

お肉でもシーフードでも、どちらでも。

だから何も言わなかった。


でもそれを改めて説明したとしても、矢野くんはきっと納得しないだろう。

そういう中途半端な答えが、彼はいちばん嫌いなんだと思う。


「そんなんだから、お前も面倒なこと押し付けられるんだよ」

「面倒なこと……?」

「忘れたのかよ? 能天気だな」


覚えの悪い子どもにがっかりするような言い方が、ぐさりと胸に刺さる。


「の、能天気……」

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