放課後、キミとふたりきり。
本当に、何もしなかった。
ふたりが料理する様子を後ろから眺めていただけで、やったのは後片付けくらいだ。
ずいぶん楽をさせてもらってしまったなあと、申し訳ない気持ちになったことを思い出す。
「それもだろ! 沢井にはなにもやらせないで、さも“あたしたち料理できるんです~。がんばってます~”ってアピール。カレーなんて切って炒めて煮るだけで誰でも作れるっつーの。かまど作って火をおこすのも、飯ごうで米炊くのも、面倒なのは俺ら男子に押し付けるし」
「そ……そんなつもりは、なかったんじゃないかな? たしかふたりには、買い物行けなかったぶん料理はがんばるから休んでてねって言われた気がするし……」
「だから、そういうの腹立たねぇわけ? いいとこどりしてんじゃねーよって。あれじゃ沢井が何もしてないみたいに見えるじゃん」
「えっ。や、やっぱり、何もやってないように見えた? そうだよね。実際なにもしてなかったし……」