放課後、キミとふたりきり。

あの時は手持ちぶさたになり、何かしなきゃと焦るばかりで、結局何もできなかった。

自分で役割を見つけられなかったわたしが悪いのだ。


右往左往しているうちにカレーは出来上がり、最後までわたしは上手くみんなの輪に入ることができなかった。

あの時の焦燥感を思い出し落ちこんでいると、あきれたようにまたため息をつかれてしまった。



「やっぱ沢井の、そういうとこ腹立つ」



冷や水を浴びせられたように固まった。

震える手から、マスキングテープが落ちそうになる。


矢野くんに嫌われていることなんてわかっていた。

そんなこと誰よりもわかっていたのに、こうして直接口にされるとズキズキと胸が痛む。

また新しい傷ができたのを感じながら、それでもわたしは笑って見せた。


「あは。ごめんね……?」


謝ってもきっと、矢野くんはまたわたしに腹を立てるだけだということはなんとなく気づいていたけれど、それでも謝罪以外の言葉が見つからなかったのだから仕方ない。

案の定軽蔑するような目を向けられて、俯くしかなくなる。
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