Who?
目の前に太った女が部屋の内装に不釣り合いなパイプ椅子に座っていた。天井にはシャンデリアがあった。チェス盤しか置けなそうな華奢な丸テーブルにはワインとワイングラスが二つ置いてあった。チーズはなくサラミはなかった。チーズたっぷりのピザもない。壁は触れれば指紋が浮き出るような純白だった。カーテンはなく窓もなかった。ベッドは大きく五人は寝れそうだった。団体には好都合であり、一人二人の世界では身に余るサイズだった。オーディオセットがベッド脇にあったが、そこから音が流れた形跡はなかった。なぜなら梱包材に包まれたままだったから。さらには本が数冊積まれていた。中にはページが開いたままのもあった。