Who?
「なんだかいろいろと手に負えなくなってきた」
「解釈の違いね」
 太った女は唇を舌先で湿らせた。
「解釈?」
「内と内、外と外。これらは反発し合い、折り合いをつけていかなければならない。いわば交易作業ね。でも、あなたは、こもっててしまった。内へ内へと。外は解放することでリセットはできるけど。これまた内は複雑なの」
「心の問題?」
「そうね。そうともいうわ。私の最大の欠点って何かわかる?」
「話が回りくどい」
「そうね」
「でも、女性ってそういう生き物だと思うから」
「そうね」
 太った女性は僕に手招きをした。
 僕は素直に従った。いささかストレートに言いすぎただろうか。ビンタを食らうのだろうか。僕の足取りは素直に従ったとはいいつつも重かった。
 太った女性からはマスクメロンのような甘い匂いが発せられていた。ポイントを押さえてコロンを噴射しているというよりは、全身から漂っていた。
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