Who?
「宝石石鹸を使ってるの」
 僕の考えを察したかのように太い女はいった。彼女はベッド下から小箱を取り出した。そこから煌びやかな石のようなものを取り出した。砕けた大理石のようだった。
「それは?」
「宝石石鹸よ。ラピスラズリ似のね。宝石石鹸ってフランス原産なのよ。フランスって香水の発祥の地でもあるから。宝石石鹸って作業工程が180もあるのよ。びっくりじゃない。この世に生まれてくるまで180回転生するようなものよ」
 僕は太った女の解説を聞きいった。太った女は僕に宝石石鹸を手渡した。僕は手にとってみた。押しつけがましくないほのかなマスクメロンの匂いが鼻腔をくすぐった。
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