Who?
「寝るというのは、裸と裸で?」
「ねえ、レイディーにそんなこと聞いちゃダメよ。ただでさえレイディーって恥ずかしがり屋なんだから。レイディーから言うときって、まああまりないけど、本気なんだからね」
「ごめん」
「いや、いいのよ。わかれば。私も少しグロスを塗りすぎたしね」
 太った女性は聞いてもいないことを応えた。
 彼女はパイプ椅子から、よいしょ、と神輿を担ぐように声掛けをし、ベッドに向かった。さりげなく読みかけの本を閉じた。本の表紙には、『罪と罰』と印字されていた。ドストエフスキーかもしれない。僕は深くまで突っ込まなかった。この流れは、いささか危険な流れであり、ベッドインの兆候が濃厚だからである。
 さて、どうしたものか。
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