Who?
時の流れは早く気づけばアオイは大学三年生になった。彼自身、特出したルックスがあるわけではない。ファッションはモノトーンを基調としたシンプルさを好み、髪型は二十代を経てミディアムにした。幼さと大人への変革の途上が功を奏したのか女性にあまり困らなかった。というのも、理系には女子が少ないせいか、または興味本意からかしれないが、比較的交際に至るまでの過程に悩み苦しんだ経験がない。ある者は、「お前を合コンに誘うと、お前しか女子は見ていないし、お前にしか質問しない」と、半年分の、お前、三連打を披露され、ある者は、「解せないんですよ。ええ」と前後の脈絡なく批判され、「服の素材は、ぼ、ぼ、ぼくのがいいですね」と、どもり、と妙なところで対抗される始末だ。全てはアオイに対する嫉妬なのだろう。
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