Who?
「そういえば呼んだ?」
 アオイはいった。
「呼んだもなにも涙を流してうわ言いってたんだから。本当に心配したのよ」
 井上ユミはビニール袋を手に持っていた。今にも、食べよ、と言いそうだ。
「記憶が浮上してきたんだ」
 アオイの言葉には、井上ユミはキョトンとし、どこか寂しげな表情を見せた。が、次の行動は彼にとって予想外だった。
「そっか。ごめんなさい。私のせいで」
 井上ユミはアオイを抱きしめた。適度な力と適度な抱擁で。
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