Who?
なにはともあれ人生は学びの連続だ。女性の嫉妬より男の嫉妬のが何倍も恐ろしい。ネチネチとあからさまに対抗してくる。なので、人との距離感に疲れ果てる。それでいて勉強もそれなりにこなしてしまうために、たまには教授の前に怒られるというピエロめいたものを演出しなければならない。
 やれやれ、世の中を渡るのは難しい。
「よっ、色男」
 春風が肌をかすめキャンパス内の噴水広場で腰を下ろしていたアオイは肩を叩かれた。見上げた先には、中村トオルと大学のマドンナ的存在である鈴木アヤカがいた。
「色はつけなくていい。男で」
「相変わらずの切り返しね」
 と鈴木。一度も染髪はしていないだろう、漆黒の黒髪。理知的で理性的。父親は、大企業の重役であり、母親はファッションデザイナーという才色兼備。プライドの高さを感じさせる大きい黒目はあらゆるものを見抜きそうだ。
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