Who?
アオイは渋々ドラムスティっくを握り、全体を見渡した。不思議な気分だった。メンバー、周囲を含め、何かを期待している表情だった。
 やってみようか、逃げようか、アオイの脳裏には様々な葛藤が湧きおごったが、井上ユミからの声に、ハッとなった。
「音楽は自由よ。一人ではない。自由」
 アオイは頷いた。昨日出会ったとは思えないぐらい彼女との距離が縮まっている気がした。
 一人ではない。 
 一人だと思っていた。
 一人でいいと思っていた。
 人付き合いは最小限に留めた。
 だけど、
 チッチッチッ
 アオイはカウントをとった。
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