Who?
聴衆は満足いっているのだろうか、むしろ前任者的位置のドラマーはアオイの演奏に満足しているのだろうか。
 考えても仕方ないことを考えているうちに、ドラムソロに突入した。ジャズにはソロパートが設けられているのが常だ。まずは、ドラム。基本ストロークを手早くこなす。シンバル、スネア、タム。ジグザグに叩き、小刻みにストローク回数を増やす。ドラムが安定的というよりは、キーボード音が乱れないから、かとアオイは得心した。
 アオイは井上ユミを見た。グレイト、と彼を見た彼女はいった。自然とアオイの口角は上がり、拍手が湧き起こった。
 汗が流れる。緊張からか張り詰める空気感がそうさせたのか。
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