Who?
夕日は地平線に沈みかけていた。オレンジから暗色に変わる空の色が、アオイの心情に移り変わると共に、いつまでもオレンジのコントラストを眺めていたいと視線を彼女に向けた。
「あんまり演奏のことは覚えてないんだ。無我夢中だったし、手は震えるし、バスドラが不安定だった印象しか残っていない」
「あのさ。完璧な演奏なんてなりえないよ」
「え?」
 アオイは耳を疑った。プロというのは完璧なものを求めているのではないのか。
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