Who?
老紳士はくるりとターンし、運転席に乗り込み、エンジンを掛けた。BMWはあっという間に、煙を吐き出し、直線的な道を疾走した。私は一人になり、大きな要的な館の前に佇むことしかできなかった。引き返すこともできたが、結局は行くあてもなく迷える子羊のように目的地が決まっている方が楽だという認識が歩を館に向けた。
 館周辺にはたくさんの草木があり、たくさんの郵便ポストがあった。私は目につく限りの郵便ポストを開けていったが、中には何も入ってなかった。入っていないものに執着していても仕方がない。
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