Who?
「鈴木さんって顔広いな」
 中村は上機嫌にアオイに声を掛けた。中村の頬は赤く、アオイが知っている限り、ビール三杯、ワイン三杯、コーラ三杯を飲んでいる。奇数を好むのか、三という数字にブレはない。
「それは当然だろ。重役の娘だぞ。にしても、佐々木学長とこの場が似ても似つかない」
 アオイはグラスの水を飲み干した。
「ハゲてるしな」
 中村の言葉に周囲を見た。
 うん。たしかにハゲてるのは佐々木学長のみだ。それに学者然としていて違和感もある。
「大人の事情ってやつか」
「いずれ俺たちもあちら側に行くと思うと学生はやめられないよな。今がいい、てさ、それは先のことがわからないから言えることだよな。だってよ、アオイ。学生の特権って、楽しむことだろ」
 中村は一杯目の水を頼んだ。
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