Who?
不思議。
 久方ぶりに、不思議、という単語を使ってしまった。いつ以来だろう。いつ、を問うのは時間の無駄でもある。すぐに出ない解答は、いくら考えても出てこない。胃奥から解答を導きだせそうなとき、うっ、となり言葉を紡ぎそうな瞬間でも、やはり解答は出ない。しかし、なにかの点と点がある日に結びついたとき、忘れかけていたあのときあの日の解答が生み出される。だが、解に辿り着いたときには、時は無情にも過ぎ去りこめかみにうっすら白髪を埋没させる。
 僕は階数表示を見上げた。十三階まではゆったりとしたスピードで向かっていた。まだ八階だ。人によっては、もう八階というかもしれない。
< 4 / 250 >

この作品をシェア

pagetop