Who?
「グロテスクではないけど、不気味よね」
 私は言った。数秒の沈黙があった。いや、もっとかもしれない。小人は瞬き一つせず、私を見つめていた。というか、私を通りこしてさらに奥、もっと奥を覗いているような気がした。近視を矯正しようと遠くを見つめる若者のように。
「はっきりさせなければいけないんだ」
 小人は唐突に切り出した。
「何をはっきりさせなければいけないの」
 微動だにしなかった小人がはじめて小首を傾げ、悩ましげというよりは、お前、なにいってるんだ今更、という困惑的な動作を示した。
< 55 / 250 >

この作品をシェア

pagetop