Who?
車の運転でスピードを出すのは百歩譲って、いいとしよう。これは一般論ではなく、私の持論だ。スピードは誰でもアクセルを踏めば加速は可能だ。しかし、加速した後の、ブレーキを徐々に踏む行為を世の男はできない。頂けない。愚かすぎて、確か、私は昔付き合っていた男にフルビンタを食らわせたっけ。でも、目の前のBMWの運転手はブレーキ技術に長けていると私は思った。なので、私は運転手がどういう人間かを見極めなければならなかった。運転席側のドアが開く。光景に不釣り合いなダークスーツに身を包んだ老紳士が降りてきた。
「ハハハハハハハ」
老紳士は笑っていた。不気味なぐらい。私の目がおかしいのだろうか。視界がぼやけている。
「ハハハハハハハ」
老紳士は笑っていた。不気味なぐらい。私の目がおかしいのだろうか。視界がぼやけている。