Who?
カナエは空き缶をゴミ箱に捨てた。右手を上げ、タクシーを拾った。運転手に向かい、自宅までの大まかな場所を伝え、タクシーは走り出した。
「今日は転換点になりますよ」
 運転手は口を開いた。
 思わずカナエは、ハッ、と口をついて出た。
「忘れていたものが呼び起こされるかもしれません」
「あなた何を言ってるの?」
「いえね」ヒヒヒと肩を上下させ、「予言めいたもにハマってまして」と運転手は言った。
「流行ってないでしょ」
「ご名答。加齢臭と煙草のように煙たがれます」
 運転手の声のトーンは下がった。
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