Who?
「あなたもピアノを演奏できるの?ここにピアノがあるということは」
 女は身を乗り出して訊いた。
「たしなむ程度よ」
「なら、連弾でもしましょ」
「あなたのピアノはクラシックというよりも、ジャズ向きよ」
「そんなの関係ないわ」
 女はカナエの手を取った。しっかりと力強く。が、カナエは女の手を振り払った。カナエはピアノを弾きたくなかった。察したように、
「弾きたくないのね」と女はいった。
 カナエは頷き、沈黙が流れた。
< 93 / 250 >

この作品をシェア

pagetop