Who?
「これからどうするか話し合いましょう」
 カナエは努めて明るい口調で女に話し掛けた。
「そんな決まってるじゃない。当分の間、ここに住むわ」
 女の表情は明るかった。拒否権はカナエにある。女はカナエの言葉をグレーかかった瞳を輝かせながら待っている。餌をねだる子犬のようで、カナエは自然と笑みがこぼれた。記憶のない女の素性を明らかにしていくのも、面白いかもしれない。というのも事実だ。仕事上、助手が欲しかったのも事実であり、記憶、というアドバンテージもまた好都合だ。
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