Who?
 カナエは首を傾げた。やはり女の顔をどこかで見たことがある。カナエの記憶もどこか抜け落ちているのか、記憶の音像がぼやけ統一感を見出せなかった。
「記憶が戻ったらここからすぐに出ていってもらう」
 カナエはきっぱりといった。
 女は一瞬、ビクッとなったが、すぐに平静に戻り、「住んでる間にあなたと連弾がしたい」という願望を入れ込んだ。
「連弾は記憶が戻ったらのご褒美ね」
「物分りがいいのね、あなたって」
 女はいった。
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