運命を辿って 〜僕らが出会ったのは〜

俺にとっては一昨日まで眠っていた彼女。
2週間ぶりに起きた彼女。

それなのに彼女にとって俺は知らない人。


「荻野さん、この花とても綺麗だわ。ありがとう。」


彼女は笑顔で答えた。
そんな彼女に申し訳無さを感じた。

「…ごめん」

「え?」

無意識で口に出してしまった。

「…他にもバラとかあったんだけど…」

思いついた言い訳だった。

「そんなことないわ。クロッカスの花でしょう?私知ってる。」
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