運命を辿って 〜僕らが出会ったのは〜
ふと彼女を見ると、クロッカスの花をじっと眺めていた。
「――なんか嫌な事、思い出させちゃったかな。」
クロッカスの花で何か嫌な事でも思い出したんではと不安になった。
「え?」
「とても困った顔をしているから…」
「そんな事ないわ、とても聞いてて楽しいの。でもまだあなたとの思い出は思い出せないの。ごめんなさい。」
そうか…やっぱり何も思い出せないよな。
何期待してるんだ。
思い出してくれたって辛いのは彼女なのに。
「謝ることないよ。じゃあもう今日は遅いから帰るね。」
「来てくれてありがとう。またお話聞かせてくださいね。」
愛の言葉に気持ちが軽くなった。
また会えると思うと嬉しくなったから。