私のエース
 保育園から小学・中学まで同じ学校だった。


意識はしていた。
同じ名前の怖い女の子として。


でも俺はある日、みずほの優しい一面を目の当たりにする。


それは地域の運動会の時だった。

久しぶりに小学校の校庭に集合した俺達。
本当は来たくなかった。
でも年代別リレーで走ってくれる中学生がいなくて、俺が頼まれたのだった。
女子の選手代表はみずほだった。


みずほは長女で、小学生の弟と妹がいた。


この地域対抗運動会は小学生の出られる競技が沢山あって、何時も賑わっていたのだった。
だからみずほは抵抗もなく来られたのだろう。




 それはトイレに並んだみずほを見た時の事だった。

前にいる女の子がもじもじしている。


(大丈夫かな?)
何故かそう思った。

この校庭のトイレは、男性用小便器が二つ。
個室が一つあった。
女性用は解らないけど、母の話だと個室が二つあるだけだらしい。


だから時々、男性用個室から女性が出てきてびっくりすることもあった。

何しろ絶対量が足りないのだ。
だからこのように、苦しむ人が大勢いたのだった。


俺のその感は当たった。

女の子は順番が来る前にガマン出来なくなったのだ。

その時みずほはトイレの裏へと女の子を誘った。


トイレの裏から出て来た女の子は、みずほのズボンを履いていた。


俺は見てはいないが、きっとみずほがズボンを脱いで渡しだのだと思う。


リレーではブルマで並んでいたから、きっとそうだと思った。




 体育の授業ならそれでもいいと思う。

でもみんなスポーツウエアで走るリレーなのだ。


俺はみずほを格好イイと思った。
そして俺はみずほをずっと意識していたことに気付いたのだった。


でもその時ことは起こった。


リレーのバトンタッチラインに並んでいると、みずほが先頭で駆けて来た。


みずほの太ももが揺れて、俺に迫って来た。

俺は思わずバトンを落とした。
慌てて拾おうとしたら、今度は胸が迫って来た。
みずほがバトンを渡してくれたからだった。

流石に巨乳とは言えない。
でも中学生らしい胸の膨らみに俺は酔った。

全身が硬直し、カーッと頭に血が登った。


「何遣ってんの!? 早く走って!!」

みずほが声を荒げた。

その言葉に俺はハッとして、次の瞬間無我夢中で走っていた。


気が付くと俺は次のランナーにバトンを一番に渡していた。




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