私のエース
隣のクラスの橋本翔太がレギュラーの座を射止めたと噂では聞いていた。
みずほの事件があった日に、大活躍して監督から認められたそうだ。
でも今はみずほのことで精一杯だった。
(監督が聞いたら怒るかな?)
俺は内心では、ドキドキしていた。
「おっ、磐城。彼女のこと聞いてるよ。大変だったな」
俺が挨拶する前に、監督が言ってくれた。
その好意が嬉しくて、俺は深々と頭を下げた。
「ま、頑張れや。俺はお前に期待しているからな。本音を言えば……ま、気にするなよ。お前にもう少し身長があれば申し分ないんだけどな」
痛いとこを監督は突く。
「俺、やっと160越えたんです。これからもどんどん伸びて行くつもりなんですが……」
俺は肩を落として言った。
「ま、気にするな俺はもっと低いから」
監督は俺を慰めるように言ってくれた。
俺は頷きながら、監督の一言一言に励まされる自分に気付いていた。
教室に戻る前に、グランドに一礼をする俺。
「その精神を忘れるなよ」
監督が言う。
何時もありがとうと言う心。
サッカーにも、グランドにも、仲間にも……
監督は何時も教えてくれていた。
(そうだ。今まで気付かなかった。それ程監督が大きい存在だったんだ)
その時俺は思った。
監督のような人になりたいと。
(俺って……なんて器の小さな人間なんだろう)
校舎に戻る途中、監督を見て思った。
教室に行くと松尾有美が待っていた。
何やら頼みことがあるようだった。
転校のこと、みずほのこと。
それからこれから先のことなど、色々と相談したいと打ち明けられた。
俺に何が出来るかは解らない。
でも出来る限り力になろうと決めていた。
だから俺達はこれからカフェに行くことにした。
でも二人で居るところを見られたらマズいと思った俺は松尾有美だけを先に帰した。
恋人を亡くしたばかりの俺が有美の傍に居た。
そんな噂がエースに伝わったら気を悪くするだろうと思ったからだった。
待ち合わせ場所は探偵事務所の近くにした。
叔父さんにも話があったからだった。
探偵事務所にアルバイトとして雇ってもらっている俺。
いくら哀しいからと言っても、何時までも休んでいられないと考えていたのだ。
みずほの事件があった日に、大活躍して監督から認められたそうだ。
でも今はみずほのことで精一杯だった。
(監督が聞いたら怒るかな?)
俺は内心では、ドキドキしていた。
「おっ、磐城。彼女のこと聞いてるよ。大変だったな」
俺が挨拶する前に、監督が言ってくれた。
その好意が嬉しくて、俺は深々と頭を下げた。
「ま、頑張れや。俺はお前に期待しているからな。本音を言えば……ま、気にするなよ。お前にもう少し身長があれば申し分ないんだけどな」
痛いとこを監督は突く。
「俺、やっと160越えたんです。これからもどんどん伸びて行くつもりなんですが……」
俺は肩を落として言った。
「ま、気にするな俺はもっと低いから」
監督は俺を慰めるように言ってくれた。
俺は頷きながら、監督の一言一言に励まされる自分に気付いていた。
教室に戻る前に、グランドに一礼をする俺。
「その精神を忘れるなよ」
監督が言う。
何時もありがとうと言う心。
サッカーにも、グランドにも、仲間にも……
監督は何時も教えてくれていた。
(そうだ。今まで気付かなかった。それ程監督が大きい存在だったんだ)
その時俺は思った。
監督のような人になりたいと。
(俺って……なんて器の小さな人間なんだろう)
校舎に戻る途中、監督を見て思った。
教室に行くと松尾有美が待っていた。
何やら頼みことがあるようだった。
転校のこと、みずほのこと。
それからこれから先のことなど、色々と相談したいと打ち明けられた。
俺に何が出来るかは解らない。
でも出来る限り力になろうと決めていた。
だから俺達はこれからカフェに行くことにした。
でも二人で居るところを見られたらマズいと思った俺は松尾有美だけを先に帰した。
恋人を亡くしたばかりの俺が有美の傍に居た。
そんな噂がエースに伝わったら気を悪くするだろうと思ったからだった。
待ち合わせ場所は探偵事務所の近くにした。
叔父さんにも話があったからだった。
探偵事務所にアルバイトとして雇ってもらっている俺。
いくら哀しいからと言っても、何時までも休んでいられないと考えていたのだ。