私のエース
 (あーバカ何遣ってる! みずほに言われた通りスマホにしとけば良かった!!)


みずほとお揃いのスマホを見に行って、結局安い携帯電話にした俺。
みずほは渋ったが無理矢理押し付けた。


だってスマホ一個分で二個……いや、それ以上買えたからだ。


(瑞穂(みずほ)のケチンボ)
そんな心の声が聞こえた。


(ごめんみずほ。あの時はこれで精一杯だったんだ。許してくれ!!)


そんな思いでやっと開けた携帯から飛び込んで来た『助けてー!!』。
それはみずほからのSOSだった。
携帯を持つ手がワナワナと震える。


「どうした!? 何があった!!」
でもみずほはそれ以上何も言わない。


「お願いだみずほ何とか言ってくれ!!」
でも返事はない。
俺は居たたまれなくなって、今来た道を蜻蛉返りしていた。
それが今、学校を目指している真相だった。




 それなのに、次に届いたメールがあれだ。
見た途端。
稲妻に撃たれたように、立ち上がれなくなった。
余りにも衝撃的過ぎて、暫く動き出せなかった。
それでも、重い足を引きずってやっとペダルに乗せた。


みずほの元へ……
行きたいのに……
気持ちだけ焦って……
上手く自転車を漕げないんだ。
みずほが待っていると言うのに。


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