恋という名の迷路 ~甘くて苦い迷宮~
あれから2週間がたち…
いまだに運命の人が見つかる気配すらなくて…
「せめて顔覚えてたらなぁ…」
美愛がひとりごとのようにつぶやく。
やっぱり…顔見てないし見つかるわけないのかな…
いやいやっ、わたしが諦めてどうするっ!
顔は見てないけど、手の感触も…その人の雰囲気も覚えてるし…
大丈夫!!
「絶対見つけられるっ!!」
あ…
気づいた時にはもう遅かった。
私は大声を出して立ち上がり、手を挙げていたのだ。
クラスの人はもちろん、廊下にいた人までもがこっちを向いている。
わ、ど…どうしよ…
「す、すみませんっ…」
そう言って座ると教室の反対側から場違いなほど明るい声で
「うるせーぞ!結良!!」
と叫ぶ奴がひとり。
そいつは湊。
私の幼馴染で小学校のころからずーっと同じクラスの腐れ縁。
しかも空気が読めないバカ。
なのに男女から人気なんて…絶対おかしい。
「湊には言われたくない!」
そう返すと、湊は立ち上がって私のもとに駆け寄ると…
「なんだとっ!?俺のどこがうるさいんだよ!」
んー…どこが…ねぇ…
「言葉に表せないほどうるさいっ」
「うわ、お前だけにはいわれたくねぇし。」
そういうと頭をくしゃくしゃしてきた。
ただでさえ癖っ毛なのに…!
「はなれろっ!」
軽くたたくと「いってっ!!」と大げさに痛がるし…
私も怒ってたけど話してると笑顔になっちゃう。
でも、そこが湊のすごいところで…だから友達が多いんだろうなって…少し尊敬できるところ。
ま、口が裂けても言わないけどっ!