ドクトル…あなたに恋して良いですか?
それから心ここにないままの状態、ぼぉ…っとしたまま時間だけが過ぎた。気付けば面会可能時間にもなっていた。

「時間だ…行ってきたら?」
「せあらちゃんは?行かないの?」
「私後でまた行くから。昨日も来たし…だから健太君行ってきたらいいよ。」

そういい見送ろうかとしていた時だ。ふと目線を上げると成瀬が来ていた。売店の近くのスペースだった為医師や看護士、患者やお見舞い人が常に行き交っていた。

「……」
「…嘘だぁ…」

目線も合わず、そのままゆったりとした歩みのまま売店に入っていく成瀬を俯いてしまうまま背中を見送り、そのままその背中を見つめていた。
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