ドクトル…あなたに恋して良いですか?
そのまま少しして茅乃の病室を後にしたせあらはその足でモールへと向かった。何を見ても不安だけが渦を巻いてくる。
見れば見るほどにだめな方のイメージしか沸いてこない。

「やっぱり諦めた方がいいのかも…」

そう思ってしまうほど弱気になっていた。
良く良く思い返してみるとせあらは何も知らなかった。

どんな物が好き…?

甘党?辛党?

何色が好き?

逆に苦手な物は何?

全く成瀬についての情報がなかった。途方に暮れるまま、あてもなく、ただ時間だけが過ぎていくようにモールの中をぐるぐると歩いていた。結局は小さなチョコレートの箱とボールペンにした。
< 65 / 84 >

この作品をシェア

pagetop