アオゾラをカナデヨ
「梅雨前には、オーディションをしてコンクールメンバーを決める予定だから、しっかり練習しておくように」

ざわついていた部室は、シャンと背筋が伸びるような緊張感に包まれた。

うちの吹奏楽部は何度も全国大会に出場している強豪校だ。人数制限があるコンクールには全員が出場できるわけではないので、毎年オーディションが行なわれる。

力を入れているだけあって、練習は厳しいが、それだけやりがいもある。

3年生になる来年度は、私にとって最後のコンクールだから、絶対にメンバーに選ばれたい。

そして、目指すは憧れの全国の舞台。私が入学してからは、惜しくもその切符を手にしたことはないのだ。

この、ライバルでもある仲間達とともに……わたしの今年の挑戦が始まった。
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