アオゾラをカナデヨ
「あれ?カイロ持ってなかったか?」

私が手を温めているのを見て不思議顔だ。よく見てるな……。

「ああ、誰かに貸したまま返ってこなくて」

「はは、おまえらしいな」

「えー?」

ふっと浮かべる微笑みにまたきゅんとする。

「ほら、かしてみ」

そう言って急に私の手を取る安斉くん。ビックリして顔を上げるとそこには照れたタイヨウの笑顔。

「冷たいな」

その大きな暖かい手で私の冷えた手を包みこんでくれる。

ーードキッ!

「……あったかい」

「そっか、よかった」

暖まる手からフワリと安斉くんの優しさが広がり、ドキドキして全身がすぐに暖かくなる。

あの日、駅のホームで私を助けてくれた大きな手にまた助けられた。

「一緒にコンクール出ような!」

「うん!ありがとう」

そう言うと、照れた暖かい手の持ち主は部室へと帰って行く。
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