アオゾラをカナデヨ
部室に戻るとすぐに安斉くんと目が合い、うまくいったよ!と笑顔で合図をする。気にしてくれていたのか、ホッとした表情を見せてくれる。

安斉くんのまっすぐな優しさや気持ちを、私も素直に受け止めたい。でもやはり香子のことを考えるとなかなか前には進めない。

恋って、こんなにもどかしいものなのかな。

安斉くんを好きだと思う気持ちにもっと自信を持ちたい。積極的にアピールができる香子を、少し羨ましくも思う。

『告白、するらしいよ』

実梨の言葉が頭をよぎる。

そんな勇気が、私にもほしい。

『ソウらしい』

私らしく、ゆっくりと進みたいのに。それを焦らせるライバル。

安斉くんに目をやると、いつもの弾けるような笑顔で友達と話をしている。オーディションも終わり一息ついているのだろう。

私の恋は、いったいこれからどうなっていくのだろう。

ーー合格発表は3日後だ。
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