アオゾラをカナデヨ
50名以上ある名前の中でひときわ際立って見えるその名前。
ユウタ、カタカナなんだ。私と同じカタカナ。

「えー、来月にあるサマーコンサートにもこのコンクールメンバーで参加する予定なので、しっかり仕上げてくるように」

ざわつく室内に、小沢先生の声が響く。メンバーに選ばれてホッとしたのもつかの間、すぐに猛練習が始まるんだ。

「さ、とりあえず昼まではパート練習。午後からはコンクールメンバーで集まるから準備しておくこと」

「はーい」

ふぅ、と安堵なのか緊張なのか分からないため息をつく。

「よかったね、みんな合格して」

麻美が笑顔で私の隣りに座ってくる。

「うん、これからが大変だけどね」

「あははー、それ言わないでー!」

メンバー表を見ながら2人で盛り上がっていると。

「ソウ!やったな」

ポンと頭を叩かれ顔を上げると、さっそくトランペットを持った安斉くん。

「うん。頑張ろうね!」

「オレのカイロのおかげだな」

えっ?

「ああ、あの時はありがとうね」

思い出されるあの大きな手の温もり。また胸がギュッとなる。

おう!と手を上げてトランペットの仲間のところへ急ぐ安斉くん。
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