アオゾラをカナデヨ


「まだ梅雨も明けてないのにサマーコンサートって……」

出番を待つ舞台袖。お互いの衣装のネクタイを直しあいながら麻美が呟いた。

「あはは、ほんとだね」

外は雨が降っているのだろうか。

雨が嫌いな私には苦手な季節だ。でも、コンクールの頃には梅雨も明け夏らしい空になっているだろう。そんなアオゾラを意識して、舞台へと上がる。

今日のコンサートは、いわばコンクールの練習のような演奏会だ。近隣の中高校が集まって、それぞれコンクールで演奏する曲を披露する。

ホールでの練習にもなるし、他の学校の演奏を聴けるいい機会だ。

「さ、行くぞ」

いつの間にか横にいた安斉くんが、舞台を見つめたままで呟いた。

いつでも一生懸命で真剣な、その姿勢が好きだ。

「うん、タイヨウの音、期待してるよ」

私の言葉に、振り返って笑顔を見せてくれる。

ドキッ!反則だよ、本番前にその笑顔は。

それでも私は、演奏への気持ちが高まるのを感じる。

学校紹介のアナウンスを聞きながら舞台へと上がる。
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