アオゾラをカナデヨ
「ソウ!」

「ひゃ!びっくりした」

不意に肩を叩いてきたのは実梨だった。

「何固まってるのかと思えば……そういうことか」

私の視線の先に気づいたようだ。

「あの手、なに?」

馴れ馴れしく安斉くんの袖なんて掴まないでよ。

「まあまあ、気持ち分かるけど落ち着いて」
「……うん」

いやいや、落ち着けるわけないでしょ。

「今日さ、打ち上げ兼ねて莉子と麻美も誘ってご飯行こうよ」

「ああ、うん!いいよ」
「そこで、いろいろ聞いたら?莉子から」

見かねた実梨が提案してくれる。

「……そうだね」

「よし!決まり!」

また肩を強く叩いてくる。励ましてくれているのだろう。こんな時にはやっぱり頼りになるんだな。

そして再びホールへと入るため、入口へ向かう。

まだ話に夢中な香子の横を通る。

「どこか食べに行こうよ、ねぇ」

大きな声で、掴んでいる安斉くんの袖を離さない。
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