アオゾラをカナデヨ


コンクール直前の厳しい練習は、私のモヤモヤとした気持ちも払拭してくれる。

カンカンカンッ‼︎ と力強くタクトを譜面台に叩きつける音がし、みんなが一斉に演奏を止める。

「ほらほら、ティンパニがそこで遅れるからトランペットまで遅れるんだよ!その後のトロンボーンも揃ってない‼︎ もう一回‼︎」

もう、同じページを何回演奏しただろう。

少しうんざりした気持ちでピッコロを構える。

分かっているんだ。先生は理不尽に怒鳴っているわけではないし、言われていることも間違っではいない。

それでもやっぱり、こう毎日毎日注意され、怒鳴られ……気が滅入ってしまうのも仕方がない。

「そう、ティンパニ良くなった。それじゃ、最初から通したら昼休憩。……さん、に!」

先生のタクトに合わせて一斉に息を吸う音がする。
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