アオゾラをカナデヨ


桜も散り始め、新学年を迎えた。

相変わらず練習に励む毎日だ。
でも、部員の顔ぶれは変わらないのに、やはりこの季節は新鮮な空気が流れる。ほんの僅かな緊張感、私の好きな季節だ。

私たちの高校は附属高校なので、ほとんどの人が大学へ進める。受験生とはいえ特別な勉強はいらないからか、ピリピリした空気もない。

そんな普段通りの空気感の中、新入生歓迎会や入部体験を来週に控え小ホールで合奏練習のための音出しをしていた。

外部から遮断されているホール内はシンと静まり返っていて、ほんの些細な音でも大きく響いてしまう。

合奏で合わせ始めたばかりの『レ ミゼラブル』はオーディションが行われるまで経験者の私がピッコロを担当することになった。

懐かしいソロパートのメロディ。
深く息を吸い込み、小さいけれど澄んだ音が遠くまで響くピッコロに吹き込む。

ーー〜♪

やっぱり好きだな、このフレーズ。
< 13 / 191 >

この作品をシェア

pagetop