アオゾラをカナデヨ
「コンクールは見に行けると思うよ」

「ほんと?ありがとう」

ああ、いい天気だ、と空を見上げ呟く一平。ほんと、と私も眩しい空を仰ぐ。

「あの転校生とはどうなった?」

転校生じゃなくて、安斉くん。いい加減名前くらい覚えてよ。

「ふふ、どうかな」

「えっ?何か進展あったのか?」

「んー。でもまだ香子のこともあるから、進展ってほどじゃないけど。でも、いい方向には向いてるかな」

そうだと信じたい。

「ほんとか?よかったな。また落ち着いたらゆっくり聞いてやる」

「……なに、その上から目線」

「あはは、じゃな」

さっさと改札を抜けて行ってしまう一平の後ろ姿を見送りながら、ゆっくりと改札を通る。
一平にもいい報告ができるといいな。

傘を持たない手は身軽で、足元まで軽い気がする。
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