アオゾラをカナデヨ


授業を終え、部室へと向かうため1人廊下へとに出る。

「ソウ〜!」

背後から呼ぶ声が聞こえ体ごと振り向くと、そこには今日もバッチリきめた香子が立っていた。

「香子……」

緊張で一瞬体が動かなくなる私に近寄ってくる香子。

「ちょっといいかな」
「あ、うん」

香子の後ろから付いて行き、誰もいない空き教室へと入る。埃と湿っぽさが鼻につくそこは、外の世界から遮断されたように静かだった。

「ごめんね、部活忙しいのに」

「いや、大丈夫」

いやいや、大丈夫じゃないけどね。

「長くなると悪いから、単刀直入に聞くね」

まるで、私が何を聞かれるか理解しているのが分かっているかのような言い方だった。

「……」

それでも、ふうと一度深い息を吐く香子を何だか可愛いと思ってしまう。

「ユウタくんと、付き合ってるの?」

だよね、そうだよね。

その少し潤んだ目が綺麗で、女子の私でも見とれてしまう。
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